2024年世界のベストホテル50、選出法は? The World’s 50 Best Restaurants や The World’s 50 Best Bars などのランキングを毎年発表してきたイギリス・ ロンドン を拠点とするメディアカンパニー、ウィリアム・リード社が、「より良い旅の体験のために、飲食業界と ホテル をつなぐ」ことを目的とし、昨年から、 The World’s 50 Best Hotels として、ホテルのランキングに参入。今年も9月17日に、ゴシック 建築 が美しいロンドンの市庁舎、ギルドホールに関係者約600人が集い、授賞式が開催された。 このランキングは、レストランや バー のランキングと同様に、匿名の業界のエキスパート約600人(50%のトラベルジャーナリスト、30%のホテル経営者、20%の経験豊富なラグジュアリーな 旅行 者)によって投票が行われ、自らのグループや資本関係などがあるホテルへの投票は禁止されている。また、最低でも25%の新しい投票者が入り、入れ替えが行われることで、常に新しい視点が提供されるように工夫されている。投票者は7票を持ち、1年半以内に、投票するホテルに宿泊したことがあることが条件で、同じグループの3つ以上の施設に投票することも禁じられている。 今年の世界一はタイの「バンコク カペラ」が受賞 ホテルのある場所、規模の大小は問われない。ちなみに昨年は、イタリアのコモ湖湖畔にある24室だけのラグジュアリー リゾート 、 パッサラクア が世界一に輝き、今年は、タイのバンコクにある カペラ バンコク が「The World's Best Hotel 」の称号を獲得した。 壇上で総支配人のジョン・ブランコ氏は「バンコクには素晴らしい歴史的なホテルが多くある中、このような名誉な賞を受けて、言葉に表せない感動です」と、その喜びを表現。「ホーム」であるバンコクで待つスタッフを「300の美しい魂」と表現し、「高く評価していただいたことに感謝する」と語った。最後は、ライブ中継で授賞式を見ていたというスタッフたちに向けてタイ語を織り交ぜながら感謝のメッセージを送った。 さて、今年世界一に輝いたカペラ バンコクは、チャオプラヤ川を望み、バンコクの中心部にありつつも、一歩足を踏み入れれば、別世界が広がっている。モダン アート に囲まれたレセプション エリア では、涼やかな空気と水盤の水の音が響く、心落ち着く静けさが待っている。全室がリバービューで、ベージュを基調としたナチュラルカラーの広々とした室内、大きくとられた窓から流れる水や行き交う伝統様式の船を眺めるのは、時の経つのを忘れる 癒し の体験だ。 世界No.1、3つ星シェフ率いるフレンチ そして、ホテルにおける飲食の重要性が増してゆく中、なんといっても忘れてはならないのは、飲食の魅力。 フラン ス 料理 とタイ料理、ティーラウンジ、そしてバーがあるが、中でも注目は、メインダイニングであるフランス料理。世界No.1 シェフ で、 ミシュラン 3つ星にも輝いた ミラズール のマウロ・コラグレ コシェ フの愛弟子、ダビデ・ガラヴァグリアシェフが率いる コート・バイ・マウロ・コラグレコ があること。 入るとすぐに、ゆったりとしたソファが配置されたライブラリーがあり、まるで家のようにリラックスできる佇まい。リバービューの窓からは明るい日差しが差し込み、ミラズールのあるコート・ダジュールをイメージして白とナチュラルな木を基調とした インテリア に、南仏の海を思わせる鮮やかなブルーのショープレートが映える。 温度感やテクスチャにこだわった精度の高いフランス料理をベースに、牡蠣の料理にタイではカレーなどに使われる香草のライムリーフの オイル を使ったり、グリーンピースのラグーに、通常はラードを使うところを、 中国 料理に使うタラの浮袋を入れて遊び心ある食感を生み出すなど、 アジア のエッセンスとフランスの アイデンティティ が見事なハーモニーを織りなす料理を提供。タイ各地の海から届く、サステナブルな漁法である一本釣りの魚を使い、自家農園の野菜を使うなど、ユネスコの 生物多様性 大使にも選ばれているコラグレコシェフの思いを継承し、地元の食材を取り入れた、「この土地ならでは」のフランス料理を生み出している。 世界一ホテル総支配人が日本へ ちなみに、先述の総支配人、ブランコ氏は2025年に 京都 (カペラ京都)と 大阪 (パティーナ大阪)の開業を皮切りに、カペラブランドの日本初上陸の総責任者して7月に就任、日本語も習得中。筆者の インタビュー にも一部日本語で答え「まだ少ししか話せません」と日本語で謙遜して見せた。ボリビア人の両親のもとベネズエラで生まれたブランコ氏は、スペイン語以外にも、英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、ポルトガル語に(本人は初歩的だと謙遜する)タイ語と、複数の言語を使いこなす。言語に堪能で、ホスピタリティ業界、スタッフへの思いの強いブランコ氏が日本のホテル業界に巻き起こす新しい風にも注目だ。 日本からも3ホテルがランクイン! ちなみに日本からは3つのホテルがランクイン。いずれも美食に力を入れているホテルだ。 7位 アマン東京 日本最高位となったのはアマン東京で、アマングループはFerrari Treno社による「Most Admired Hotel Group Award(最も称賛されるホテルグループ賞)」も受賞した。アマンの平木正和シェフは元々、イタリア・ベネチアの5つ星ホテル、「ザ・バウワーホテル」の料理長を務めたのちアマン東京へ。京都、伊勢志摩にある日本国内のアマンの西洋料理部門を束ね、生産者訪問に足繁く訪れるなど、食材への敬意を表現するシェフとして知られる。 22位 ブルガリ ホテル 東京 ニッカウヰスキー社による「Best New Hotel Award(ベストニューホテル賞)」を受け、昨年オープンしたホテルの中で世界一という栄誉を得た。ちなみに、館内の食は、世界のベストレストランで現在19位でミシュラン3つ星、イタリア「 レアーレ 」のシェフ、ニコ・ロミート氏監修だ。ロミートシェフは、糖分や油分を控え、素材感を引き出した料理や、グルテン含有率の少ない古代小麦を使った パン なども生み出し、 健康 への真摯なアプローチで注目を集める。 27位 パーク・ハイアット・京都 Photo: Nacasa & Partners inc.
そして、27位には広大な日本庭園に抱かれた日本料理「京大和」と、八坂の塔を望む、眺望も抜群の フレンチ 鉄板焼き「八坂」とバー「琥珀」が魅力のパーク・ハイアット・京都がランクイン。シグネチャーレストランである「八坂」では、フランス・ブルゴーニュ地方のミシュラン3つ星、「メゾン ラムロワーズ」などで研鑽を積んだ小山健太郎シェフがフレンチのソースに抜群の火入れの肉や魚を合わせたフランス料理と鉄板焼きの融合を実現する。 今年、ラグジュアリー・グループ・マリオット・インターナショナルがアジア太平洋地域の富裕層をターゲットに行ったラグジュアリートラベルの調査の中でも、88%がハイエンドな美食を中心に、旅のプランを計画しているという結果が出た。これまでに以上に多くの人が「その土地での食事」を楽しみにしているといえるだろう。このアワードを通し、レストランとバー、そしてホテルの関連性が、より一層加速しそうだ。 Text: Kyoko Nakayama Read More.
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世界のベストホテル50、今年の世界一とランクインした在日本ホテルの共通点
世界のベストレストラン50(The World’s 50 Best Restaurants)なども発表するロンドンに拠点を置くメディアカンパニー、ウィリアム・リード社が昨年からホテルランキングにも参入。今年のベストホテルとラインクインした在日本の3ホテルを、“美食”という共通項から探る。